シンセティック・ストーンの世界

皆さんはシンセティック・ストーンという言葉を聞いたことがありますか。これを現在ご覧の方で、このシンセティック・ストーンという名前を聞いたことがある、と言う方は決して多くないようにも思えます。ですがこのシンセティック・ストーンですが、現在の宝石、ジュエリーの業界において、このシンセティック・ストーンは決して小さくない地位を占めている、と言ってもいいのです。従って皆さんの中でもその相当数の人が、このシンセティック・ストーンを宝石店、貴金属店、ジュエリーショップ等で見かけたことがあるはずです。もっともそれと気が付いていなかっただけなのかもしれませんが。はたまた皆さんはもしかしたらこのシンセティック・ストーンを実際に購入したことがあるかもしれません。シンセティック・ストーンという名前が付いているくらいですから、それが石であることは皆さんにもお分かりだと思います。そしてそれが宝石に近いものであることも、想像が付くかと思います。
ところでシンセティック・ストーンとは長くて難しい名前がついています。ちょっと発音しにくく、どうかすると舌を噛んでしまいそうな名前です。一見シンセティック・ストーンという非常に分かりにくい名前がついていますが、結局のところシンセティック・ストーンとは「合成石」のことを指します。
ところで石には本当に「合成石」なるものがあるのでしょうか。石と言えば、そこらへんに転がっていて、100%自然に作られるもの、というイメージが有ります。ところでそのシンセティック・ストーン、即ち石は人の手で作ることが本当に可能なのでしょうか。シンセティック・ストーン、つまり合成石とは結局のところ人で作られた石ということなのです。それでは一体どのようにしてこのシンセティック・ストーン、合成石は出来上がるのでしょうか。ここではこのシンセティック・ストーンについて説明します。

最近は天然の石、宝石だけではなく、こうしたシンセティック・ストーンも増えていて、ジュエリーショップや宝石店でもよく売られています。そして所謂天然宝石、天然のジュエリーと同じくらいの美しさ、輝きを放っています。
とはいえ、現在はシンセティック・ストーン、合成石を作るにしても、その技術はどんどんと向上しています。そして宝石、ジュエリーの合成の技術が進歩するにつれ、天然石の価値が落ちていくことを心配する声が、実は宝石、ジュエリーの業界の中でも聞かれます。果たしてこれはどうでしょうか。人工石、シンセティック・ストーンの生成技術が発展すれば、天然石の価値下落をもたらす、というのは本当なのでしょうか。これに対してはいろいろな考えがあるでしょうが、むしろそういったことは考えられないようにも思えます。寧ろ逆にそれによって、天然石の価値がますます上昇することを期待してもいいのではないでしょうか。
先にも記したように、天然石はこの地球の奥底で、膨大な時間をかけて、即ち数億年、はたまた数十億年もの時間をかけて生成された天然の産物です。まぎれもなく地球が作り出した「本物」の宝石、ジュエリーです。もっとロマンチックな言いかたをすれば、私達の住む地球という名の小さな惑星からの、贈りものだと言ってもいいでしょう。古代から、人類は宝石、ジュエリーにその美しさを見出し、同時にそこに様々なメッセージを読み取り、それを次の世代へと引き継ぎました。そうした営みはもう人類の歴史上数千年も続いているのです。エジプト等の古墳から宝石やジュエリーが発掘されるのはよく知られています。数千年前の人類もそうして宝石を愛して、珍重してきました。そして現在の私達とてそうです。更には未来の人類も恐らく同じでしょう。とどのつまり、宝石とはそういうもの、そういう存在です。
それと比べた場合、シンセティック・ストーン、合成石は宝石なのではありません。では人工石、シンセティック・ストーンは天然の宝石、ジュエリーの偽物なのか、と思われるでしょうが、そうした理解も決して正しくは有りません。合成石は偽物というわけでもありません。そう考えると宝石、ジュエリーのうちの所謂「天然石イコール本物、合成石イコール偽物」という理解は、決して正しくないのかもしれません。正しくは「天然石は天然石、合成石は合成石」であり、両者は本来別物、別の次元で語られるべきものであって、本物、偽物といった視点で語るのは適切ではありません。
ですが本当はこうであって、このような視点から天然石、及び人工石、シンセティック・ストーンについて語るべきなのでしょうが、残念ながら現在一部ではまだまだこうした考え方が通用していないようです。何故そのようなことになっているのでしょうか。この後はシンセティック・ストーンの存在と、それが抱える新たな問題について考えていきたいと思います。

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